「ひと昔、ふた昔・・・三昔前」

taros_magazine2004-11-14


最近、何気に「ほんの10年くらい前には…」とか「20年前なら…」なんてことを口走ってしまう

ときにはハタチそこそこの同僚に向かって「30年前にはなー…」なんて言い放って「まーだ生まれてないっスよ」とか言われてしまい、唖然とすることもある

よくよく思い出してみると、30年前ってホントに今では考えられない世界がそこかしこにあった
近所の鉄工場(「てっこうば」と読んで欲しい)には、戦争で使われた小銃の弾が転がってたり、近所の池のほとりの森でムササビが飛んでたり、トイレットペーパー買うのに行列したり…原付に乗るのにヘルメットが必要になったのだって20年近く前(1985年)のコトだ

そんな”遠い昔”をリアルに思い出させてくれるのが、再放送のテレビ番組だ

スカパーの「ファミリー劇場」はそんな番組のオンパレード。特に今月放送された松田優作中村雅俊の刑事モノの「俺たちの勲章」は、出てくる街の廃れ具合といい、ストーリーの救いの無さといい、高度経済成長からバブルへと以降していく狭間の70年代を表す刑事物ドラマの傑作である
(実はこのドラマには豊橋ロケがあった。実際には渥美(伊良湖)が舞台なんだけど、豊橋駅周辺でもロケが行われていて、「ジーパン(もちろん「太陽にほえろ」の松田優作のこと)が豊橋に来た!」というのは地元ではちょっとしたニュースになったのを覚えている)

このドラマの何がイイって、”風景”である。メインの舞台は横浜なんだけど、なぜか管轄は伊勢佐木町という見事にうらぶれた街である。ロケ先も足尾とか霞ヶ浦とか、観光地を微妙にハズしたセレクションであり、これらすべてが今僕たちがイメージする”昭和”そのものの風景なのだ

「昔はビンボーだったよな。ウチも風呂なかったし…」とか思いながら見ているんだけど、何とも言えない郷愁…というか共感みたいなものを当時のドラマに感じてしまう

「物質的には豊かになったが精神的には…」なんて、ワイドショーのコメンテーターがしたり顔で言うようなものじゃなく、何かもっと身近なあたたかいモノがこみ上げてくる

これが”年をとった”ということだろうか?


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