「タレ流し」

ま、こんなところで今さら大上段に構えて言うことじゃないんだろうけど、マスコミ(特に社会部)の記者が考える”人権”って何なんだろう?

容疑者逮捕を事件解決同様に嬉々として報道しながら、手錠にはモザイク。少年犯罪では顔を写せないことがわかっているのに、わざわざアルバムや集合写真を引っ張り出してきて、やっぱりモザイク…
そのくせ”事故”だからと実名を出して「○○さんは50ccのバイクに友人と2人で乗り、ツーリングに行く途中に運転を誤り転倒したもので、2人ともヘルメットはかぶっていなかった」なんてマヌケな記事もあったりする  

そして今日、また最悪の記事を見かけた

いわゆる”男女関係のもつれ”による殺人事件。これまで殺人を否認してきた容疑者の男がついに犯行を認め、その動機を語ったという
  「●●さんに『家庭をメチャメチャにしてやる』と言われたので殺した」

こんな動機を記事にして何を言いたいのだろう?被害者にも落ち度があったということを伝えたいのか?それとも「不倫はイケナイぞ!」という道徳を訴えたいのか?
いや、何も考えてなんかいない。警察発表をタレ流しただけの脊椎反射のような報道。読者(視聴者)の”知る権利”を満たしたつもりで…

じゃ、これが加害者のまったくの作り話だったらどうする気なんだろう?
犯人が自分に有利なように動機を語ることなんて当たり前の話で、警察だってそれを織り込み済みで発表しているつもりだろう
でも、マスコミが活字にして”報道”という形にしてしまうと、それが”(既成)事実”として広まってしまう

真偽のほどは定かじゃないけど、ヨーロッパのどこかでは犯罪報道の際、被害者の氏名は一切出さないという。せいぜい住んでいる町の名前を出すくらいだという

”事件の背景”なんていうのは、”興味本位”の体裁のいい言い換えにすぎない。いいかげん桶川ストーカー殺人から学べよ


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