学芸会

taros_magazine2005-03-29


なかなか寝られずにテレビをぼーっと見てたら、「ハッスル」を放送していた
“プロレス冬の時代”の中、芸能界やスポーツ界(プロレスも“スポーツ界”なんだろうけど…)をも巻き込んでブームを起こしている貴重なマットである。さぞや熱い闘いが繰り広げられている…ワケはなく、そのマット上で“演じられて”いたのは、ときどき投げたり蹴ったりする“コント”だった

ハッスルについて今さら「八百長」とか「お遊戯」なんて無粋なことは言わない。そんな批判もネタにしている(つもり)で主催者も選手も、さらに観客も“エンジョイ”しているんだろうから…

僕自身、こうした「ショープロレス」に対する免疫はできているつもりだった
5年ほど前から欠かさず見ているWWE(かつてのWWF)。最初は「なんで服着てプロレスやってんだよ」とか「なんで舞台裏の密談にカメラがいるんだよ」なんて拒絶反応を示したものの、今ではドップリと浸かっている
 そんなことで、ある種期待をして見ていたんだけど…やっぱりダメだった

 「いったい何が違うんだろう?」と思っているとき、少しだけ「おぉ!」と思えるシーンがあった
 川田が倒れている小川を蹴りまくるシーン。軸足をしっかりと踏み込み、思いっきりスイングした右脚は小川の背中にフルスピードでメリ込んだ。何発も何発も…

 そのとき、WWFとハッスルの違いを瞬時に理解した。それは“痛み”が伝わるかどうか”というものだと…

 それまで鼻で笑いながら見ていたWWEに、一気にのめり込むようにようになったのは、ハーディーボーイズVSエッジ&クリスチャンの「ハシゴマッチ」たった1試合がキッカケである。大嫌いだったHHHはミック・フォーリーとの画鋲マッチ1試合を見ただけで大ファンになった。最近はスター選手が続々と離脱していき、「つまんねーな」と思っていた自分がランディ・オートンに心酔するようになったのも、ミック・フォーリーとの1試合、有刺鉄線ボードマッチからだ。 
 
 そんな壮絶な肉体芸を披露しながら、「ブック」や「アングル」なんていう陳腐な見られ方も全力で受け入れる。こんな“学芸会”は、本当にタフなヤツにしかできない

 川田の蹴りにちょっと面食らったような表情をしていた小川…。それが「ちょっと待てよ!」ではなく、「やるじゃねーか!」という気持ちの表れであることを祈りたい


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