ニュースバリュー

taros_magazine2005-09-07

選挙の告示期間になると、必ずニュースになるのが「ポスターを破った」だのという“選挙妨害”のニュースである
コレが下手をすると殺人事件なんかよりもずっと大きく扱われ、キッチリと実名と居住地まで報道される

選挙権が大切なモノだということは否定するつもりはないが、国政選挙で3割から4割、地方選挙だと半数以上の有権者が放棄しているような権利の、それもそこらじゅうにベタベタと貼ってあるポスターを1枚か2枚破ったことがどれほどの悪事なんだろう?

同じような気持ちになるのが、警察密着モノのテレビ特番である
ピンクチラシ張りのアンチャンや、外国人不法就労者(それも普通に工場とかで働いている人)を何人もの警官が何日も内定を続けて得意げに摘発シーンを撮影させているが、この“事件”がいったいどれほどの被害を発生させているのだろうか?

正直、どちらのケースも「それが何なんだよ」という程度の感想…というより、「ほかにやることがあるだろう」というイラ立ちを覚えるだけだ

この両者がガッチリと手を組む“県警記者クラブ”の見るに耐えない無思慮ぶりにまた呆れた
豊明市で発見された少女の遺体…殺害を認めた岡崎市役所の職員は、当初の“金銭トラブル”の供述を翻し、“援助交際をもちかけたことを家族や勤務先にバラす”と脅され、怖くなって殺害した、と語っていると報道された
実名も住所も公表されてしまっている被害者。その彼女の私生活を、殺害した本人の言葉どおりに警察もマスコミも社会に公表する
そもそも金銭トラブルも、脅しも、加害者が言っているだけで、当然ながら“死人に口無し”の被害者の言い分は何一つ伝えられない
そして、“この程度”の事件のその後や公判の様子をメディアが報道することもないだろう
数年…いや数ヶ月後、世間が覚えているのは「あぁ、なんか援助交際やって、相手のオトコ脅迫して殺されちゃったズベがいたよね」ということだけ…


*9月19日追記
 この事件は逮捕された容疑者が「自分は死体マニアで、最初から殺すつもりだった」との供述を始めたとのことです
 はたして”真実”はどこまで報道されるのか…