真逆

taros_magazine2006-01-15

演歌歌手の藤あや子の”衣装用住宅”に空き巣が入ったそうである
昨年には同じ東京の目黒区で石田純一の自宅や、そのすぐご近所である森尾由美の自宅でも盗難事件があったという
別に”B級”のタレントが都内に豪勢な一戸建てを構えているとか、しかもそれを”衣装部屋”として使ってることに驚いた、というわけじゃない。ただ、テレビ各局のこの事件に対する報道の仕方については失笑を禁じ得なかった
なんでもこうした芸能人宅が狙われるのは、法律で公開が定められている高額納税者名簿、いわゆる”長者番付”のせいであり、そこから住所が割り出されてしまうから…らしい
「その結果がなんで浜崎あゆみ中居正広じゃなく、石田純一なんだよ?」などというヤボなツッコミはこの際やめておこう。でも、これだけは言っておこう…「その長者番付をおもしろおかしく取り上げ、一万円札を積み上げるとどれくらいの高さだとか、芸能人以外の高額納税者の自宅さえも堂々とテレビカメラに映してインタビュー取材してきたのは誰なんだ?今まで一度でもそうした”プライバシー”に言及したことがあるのか?」と
それともう一つ、失笑どころか爆笑モノのシーンがあった
付近の芸能人宅も被害に遭っていることを伝えると、T局では「目黒区ではここ数年最近空き巣被害が急増しており…」とのコメントした後、住民2〜3人が口を揃えて『最近は物騒になった』だの『空き巣が増えた』だのと不安を訴えるシーンが放送し、”治安の悪化”が事件の背景にあるという結論を出した
一方、直後に今回の件を伝えたA局は、「目黒区はとりたてて犯罪が多発しているわけではなく…」と述べた後で、同じように何人かの住民が「空き巣なんて聞いたことない」とインタビューに答えるシーンを放送し、これが(住所の漏洩している)芸能人特有の問題であるとし、そうした住所録の流通するインターネット社会が問題であると断じた
製作サイドの編集方針ひとつで、おなじ事件の背景がまったく別の物として報道する。それも自らの主張ではなく、市民の口を借りて…
そういえば、全マスコミが得意満面で主張しているシーンを思い出した
「○○では、被害者の生命保護の観点から、これまで報道を控えてきました…」仙台の乳児誘拐事件の容疑者逮捕後にいつものように語られたキマリ文句
でも、こんなアタリマエのことさえ、捜査当局からの”お願い”や、(抜け駆け防止の)報道”協定”が結ばれていなければできない者たち…
自分たちも含む”高額納税者”や”芸能人”の個人情報の漏洩には口角泡立てて反対する反面、メシのタネである犯罪被害者の個人情報にはハイエナのようにたかる彼ら…
彼らにその犯罪被害者の実名報道の判断を委ねたらどのような結果になるか…”失笑”ではすまないだろう