矛先

taros_magazine2006-04-20

先頃、警察庁が全国に『危険な運転を繰り返す自転車を積極的に取り締まる』よう伝えたという
ま、確かに通学時や帰宅時の高校生の車列には、閉口させられるような運転も目にすることもたまにはある
以前テレビのワイドショーだかニュース番組でも、街角に立ってそうした自転車を日夜注意するオジサンを取り上げ”英雄視”しているようなシーンを見たことがある
車を運転する側から見れば『ジャマ者』、歩行者から見れば『凶器』なわけで、何らかの強制力でもって抑止を計るというのもごく当たり前のことなのかもしれない
ということで、さっそくニュース番組では混雑する舗道を”暴走”する、”無法”自転車の取材をしていた
案の定、そこでは老人の横を”猛スピード”ですり抜ける若者、携帯でメールを打ちながら走る高校生、さらに信号無視だの、ナナメ横断だのが次から次へと現れる
レポーターはそのたびに「信号赤ですよ!」とか「危ない危ない!」、しまいには「何やってるかわかってるんですか!違法行為ですよ!」などと声を荒げていた
『あー…オレに言ってくれたらなぁ…』
いつも自転車で音楽を聴きながら舗道を”猛スピードで暴走”して通勤している自分は、そう思わずにはいられなかった。もし自分にそうしたレポーターが声をかけてきたら、こう言ってやるのに…
『アンタ、ここまでどうやってきたの?そこの道路に”違法駐車”してるロケバス?もしかして制限速度内でずーっと走ってきたの?』
ニュースでは脚立と自転車が接触し、脚立に乗ってた老人が死亡した、という事件をことさらに強調し、”暴走自転車”を非難していた
確かにそれは不幸な事故ではあるが、統計的には街を走ってる自動車が起こす事故に比べれば限りなく”ゼロ”に近い発生率だ
それに悪質さという面から考えても、先に同じニュース番組で取材していた”飲酒トラック”と同じような方向性で報道するというのもあまりに安直だろう
報道が真に”中立”の立場に立ち、社会的な役割を持って検証する機関であるなら、今回の警察庁の方針に対して批判もあって当然だと思う
「今の日本の道路事情で、自転車に何処を走れというのか?自転車の取り締まりを強化する人員と体制があるなら、街中にあふれる自動車の信号無視、迷惑駐車、スピード違反、その他諸々の違反を取り締まったらどうだ?」と…
ニュースで盛んに繰り返されていた『自転車も飲酒運転は”3年以下の懲役又は50万円以下の罰金”なんですよ!』という殺し文句…
こんなふうにマスコミに大騒ぎしてもらえば、もう警察庁は”してやったり”の気分だろう
でも、ホントに繁華街で自転車の飲酒検問なんかやった日には、『じゃ自転車より捕まりにくい”自動車”で飲みに行くか』って思うヤツがきっと増えると思うけどナ